2015年5月3日日曜日

『イリーガル・エイリアン』感想

『イリーガル・エイリアン』ロバート・J・ソウヤー著/内田昌之訳
                            ハヤカワSF文庫 初版2002年10月31日
  あらすじ・・・アルファケンタウリから来た、トソク族というエイリアンとのファーストコンタクトに成功した人類は、彼らの宇宙船の修理を手伝う代わりに、彼らの進んだ技術の提供を受けられることになった。トソク族との交流は平和なムードで進んでいたが、彼らの接待役の地球人科学者が惨殺されてしまう。右脚と首が切断され、片目と下顎が持ち去られ、胴体は解剖されたかのように切り裂かれ、臓器が取り出されていた。この残忍な殺人事件の容疑者として捕まったのは、トソク族の一人だった。エイリアンを被告人にした、前代未聞の裁判が始まった。

 いやあ、面白い! ファーストコンタクト物のSFとして始まり、法廷サスペンスに変化して、さらに! ……と、息つく暇も与えないほどスピーディーに、話が進んでいきます。本当にエイリアンが犯人なのか? だとしたら動機は? 公判前の開示手続きで、提示された証拠を見た弁護士は、エイリアンの有罪を確信します。一体どうやって弁護するのか? そして裁判で、意外な事実が明らかになります。そこからの展開がまた良い。ラストも未来への希望を感じさせる、ワクワクさせる展開になります。

 作者のロバート・J・ソウヤーは本作以外にも、ミステリー要素の強いSFを書いています。実力のある作家で、日本での人気も高いようです。最近では「フラッシュフォワード」がアメリカでTVドラマ化されています。

 ある漫画でこの本が出てきて、以来読みたくて探していたのですが、ある日ふと立ち寄った古本屋に500円で売っていたので、即行で購入しました。高い期待を抱いて読むと、がっかりすることもありますが、この本は期待以上でした。
 分量としては厚めの本ですが、とても読み易いので、詰まることも無く読めるでしょう。お勧めです。

 ホラー小説が続いたので、今回はSFでした。

 2015年5月3日。みやこめっせ春の古書大即売会に行ってきます。

0 件のコメント: