『死者の書』
ジョナサン・キャロル著/浅羽莢子訳
創元推理文庫 初版1988年7月15日
あらすじ・・・高校教師トーマス・アビイは、休暇を利用して天才作家マーシャル・フランスの伝記を書こうと、フランスが愛した町ゲイレンを訪れた。そこは一見、のどかな田舎町だったが、何か、何処か、おかしかった。少年がトラックに轢かれると、ドライバーは「こんなはずねえんだ。わかっちゃいたが」と言い、老婦人も「あんたじゃないはずなのに!」と言った。さらには「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」と言った。この町はフランスに創られた町。住人たちは、トーマスにある望みを持っていた。
この本を読んだスティーヴン・キングが思わずファンレターを書いた、 と言うエピソードがあります。確かにこの作品は凄い! 純粋な意味でのホラーではないのですが、生半可なホラー小説よりよっぽど怖い。
序盤は展開もだるく、何度か読むのを止めようかと思いましたが、少年がトラックに轢かれたあたりから、徐々に「この町はおかしい」と思うようになり、俄然面白くなってきました。ストーリーはその後、町の秘密、住人の秘密、フランスの秘密、トーマスの秘密、住人たちの思惑などが明らかになり、ラストへと突き進みます。そして読者の後頭部をぶん殴るような衝撃の展開! ……主人公に感情移入して読んでいた私は、トーマスと同じく読んでいた本を投げ捨てて、逃げ出したい気持ちになりました。ラストもまた、不気味です。
作者のジョナサン・キャロルは、これが処女作だそうです。信じられん……。その後も長編短編問わず、発表し続けている現役の作家です。長編第二作「我らが影の声」は、本作より怖いとの噂を聞き、未だに読む勇気が出ません。それぐらい、本作には衝撃を受けました。
キングは「死の舞踏」(福武文庫)において、ホラー小説を三つに分類しました。その最上のものは<戦慄>(テラー)、その下に<恐怖>(ホラー)、最下層に<不快感>(リヴァルジョン)があると。本作「死者の書」は、この中の<戦慄>に分類されるべき作品だと思います。
2015年5月30日土曜日
2015年5月24日日曜日
『危険! 幼児逃亡中』感想
『危険! 幼児逃亡中』
C・L・コットレル著/伊藤典夫訳
ハヤカワ文庫SF「冷たい方程式」(新版)所収 初版2011年11月15日
あらすじ・・・誤って爆弾が投下された町をジルという名の少女が一人、さまよっていた。爆弾を回収しにやってきた、空軍のバティン大佐に同行していた記者のゴードンは、大佐の目的が爆弾ではなく、少女であることを知る。ジルは、とびきり危険な少女だったのだ。
SF作家の山本弘さんの本で、タイトルだけが紹介されていたのを読んで、どんな話なのかとても興味を持ちました。幸い、「冷たい方程式」の新版が出版され、それに収録されているのを知り、この話だけを目的に購入しました。ですのでこれは古本ではなく、新刊本です。
タイトルから、コメディー色の強いドタバタストーリーを予想していたのですが、意外にシリアスなストーリーでした。少女と対峙したゴードンの心の叫びが悲痛です。
なんでも、キングが「ファイアスターター」の元ネタにしたとかしないとか、噂があるらしいです。そういえば、「ファイアスターター」や「キャリー」に通じるところのある、ストーリーでした。
作者の C・L・コットレルについては、よく分かりません。訳者あとがきでは、本作ほか短編を数編発表して消えた作家らしいです。軍人だったらしく、軍人の描写にリアリティーがあるかな? と思いました。
C・L・コットレル著/伊藤典夫訳
ハヤカワ文庫SF「冷たい方程式」(新版)所収 初版2011年11月15日
あらすじ・・・誤って爆弾が投下された町をジルという名の少女が一人、さまよっていた。爆弾を回収しにやってきた、空軍のバティン大佐に同行していた記者のゴードンは、大佐の目的が爆弾ではなく、少女であることを知る。ジルは、とびきり危険な少女だったのだ。
SF作家の山本弘さんの本で、タイトルだけが紹介されていたのを読んで、どんな話なのかとても興味を持ちました。幸い、「冷たい方程式」の新版が出版され、それに収録されているのを知り、この話だけを目的に購入しました。ですのでこれは古本ではなく、新刊本です。
タイトルから、コメディー色の強いドタバタストーリーを予想していたのですが、意外にシリアスなストーリーでした。少女と対峙したゴードンの心の叫びが悲痛です。
なんでも、キングが「ファイアスターター」の元ネタにしたとかしないとか、噂があるらしいです。そういえば、「ファイアスターター」や「キャリー」に通じるところのある、ストーリーでした。
作者の C・L・コットレルについては、よく分かりません。訳者あとがきでは、本作ほか短編を数編発表して消えた作家らしいです。軍人だったらしく、軍人の描写にリアリティーがあるかな? と思いました。
2015年5月17日日曜日
『トーテム』感想
『トーテム』
デイヴィッド・マレル著/喜多元子訳
ハヤカワ文庫NV(モダンホラーセレクション) 初版1987年4月10日
あらすじ・・・ワイオミング州の平和な田舎町ポッターズ・フィールドで、次々と奇怪な事件が起きる。轢き逃げされたヒッチハイカーの死体が、検死中に動き出す。穴に落ちた男が犬に噛み殺される。アライグマに噛まれた少年が、母親に襲い掛かる。
警察署長のスローターは、検死医のアークム、記者のダンラップ、恋人のマージ等の力を借りて、事件を解決しようとするが、犠牲者は増え続ける。
そして、満月の夜がやって来る。
吸血鬼と狼男物のホラーと、ウィルスパニック物を合わせたようなストーリー。徐々に犠牲者が増えていき、満月の夜にクライマックスをむかえる展開は、スリリングで退屈しません。特に、クライマックスでついに姿を見せる、「枝角」を持つ”やつら”の異様さときたら……。
物語中盤から、事件の真相は想像できると思いますが、序盤から徐々に雰囲気を盛り上げて行って、クライマックスに繋げる展開はお見事です。
作者のデイヴィッド・マレルは、「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」の作者と同じ人です。
実はこの「トーテム」は、もっと長いストーリーだった物を編集者の要求で、短くまとめた物だそうです。後に再版に当たって、原稿を元の形に戻した完全版が出版されました。日本では東京創元社から、上下二分冊で出版されています。
私は完全版の方から先に読んだのですが、短いハヤカワ版も呼んでみたくて古本屋を探し回って購入したのに、ずっとほったらかしにしていたのを先日、部屋の掃除中に発見して一気読みしました(部屋の掃除はまだ終わってません)。両者の最大の違いは、完全版には主要登場人物が一人追加されていることでしょう。内容が濃くなって分量が増えても、詰まる事無くサクサク読めました。
どちらが良いかと聞かれたら、どっちも良いと答えるしかありません。あえて言うなら、ハヤカワ版はあっさりしすぎていて、完全版はやや冗長に感じる、といった所でしょうか。興味を持った方は、ぜひ読み比べてみてください。
デイヴィッド・マレル著/喜多元子訳
ハヤカワ文庫NV(モダンホラーセレクション) 初版1987年4月10日
あらすじ・・・ワイオミング州の平和な田舎町ポッターズ・フィールドで、次々と奇怪な事件が起きる。轢き逃げされたヒッチハイカーの死体が、検死中に動き出す。穴に落ちた男が犬に噛み殺される。アライグマに噛まれた少年が、母親に襲い掛かる。
警察署長のスローターは、検死医のアークム、記者のダンラップ、恋人のマージ等の力を借りて、事件を解決しようとするが、犠牲者は増え続ける。
そして、満月の夜がやって来る。
吸血鬼と狼男物のホラーと、ウィルスパニック物を合わせたようなストーリー。徐々に犠牲者が増えていき、満月の夜にクライマックスをむかえる展開は、スリリングで退屈しません。特に、クライマックスでついに姿を見せる、「枝角」を持つ”やつら”の異様さときたら……。
物語中盤から、事件の真相は想像できると思いますが、序盤から徐々に雰囲気を盛り上げて行って、クライマックスに繋げる展開はお見事です。
作者のデイヴィッド・マレルは、「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」の作者と同じ人です。
実はこの「トーテム」は、もっと長いストーリーだった物を編集者の要求で、短くまとめた物だそうです。後に再版に当たって、原稿を元の形に戻した完全版が出版されました。日本では東京創元社から、上下二分冊で出版されています。
私は完全版の方から先に読んだのですが、短いハヤカワ版も呼んでみたくて古本屋を探し回って購入したのに、ずっとほったらかしにしていたのを先日、部屋の掃除中に発見して一気読みしました(部屋の掃除はまだ終わってません)。両者の最大の違いは、完全版には主要登場人物が一人追加されていることでしょう。内容が濃くなって分量が増えても、詰まる事無くサクサク読めました。
どちらが良いかと聞かれたら、どっちも良いと答えるしかありません。あえて言うなら、ハヤカワ版はあっさりしすぎていて、完全版はやや冗長に感じる、といった所でしょうか。興味を持った方は、ぜひ読み比べてみてください。
2015年5月11日月曜日
『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』感想
『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』
デイヴィッド・マレル著/浅倉久志訳
新潮文庫「ナイト・フライヤー」所収 初版1989年9月25日
あらすじ・・・謎の死を遂げた画家、ファン・ドールンの秘密を調べていた友人のマイヤーズが、ファン・ドールンと同じように自分の目を抉り出して死んだ。ファン・ドールンの絵に隠された秘密をマイヤーズから教えられていたわたしは、友人の死の真相と、ファン・ドールンの秘密を調べに、ドールンとマイヤーズが死んだ南仏の町ラ・ヴェルジュに向かった。ファン・ドールンの絵には、注意深く観察しなければ分からないが、不気味な小さい顔の群れが描かれていた。だが、ラ・ヴェルジュで待っていたのは、絵よりも不気味で恐ろしい真相だった。
ダグラス・E・ウィンター編の、ホラーアンソロジー「ナイト・フライヤー」に収録されている短編小説です。
まず、タイトルに惹かれました。実に意味深なタイトル。意味は本編中で説明されています。
内容は実に不気味で、絵に秘められた謎も不気味なら、事の真相も不気味。ラストも実に不気味な雰囲気で終わります。読んでいて、自分もブルーに塗り固められそうな気分になりました。
作者のデイヴィッド・マレルは、日本では映画「ランボー」の原作者としての方が有名でしょうか。アクションやスリラーを得意とする作家ですが、ホラー作家としても一流の腕前を持っている人です。長編は「トーテム」だけですが、短編がこの作品のように、アンソロジーによく収録されています。
「ナイト・フライヤー」には、マレルの他にスティーヴン・キング、デニス・エチスン、クライヴ・バーカー、トマス・テッシアー、ピーター・ストラウブ、チャールズ・L・グラント、ラムジー・キャンベル、ホイットリー・ストリーバーなど、そうそうたるメンバーが名を連ねていますが、マレルのこの「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」が、白眉といっていいでしょう(キングの表題作も負けずに良いのですが)。
アンソロジーは、いろんな作家の作品が手軽に読めるので、そのジャンルをはじめて読む人には、入門書代わりにちょうど良いと思います。
デイヴィッド・マレル著/浅倉久志訳
新潮文庫「ナイト・フライヤー」所収 初版1989年9月25日
あらすじ・・・謎の死を遂げた画家、ファン・ドールンの秘密を調べていた友人のマイヤーズが、ファン・ドールンと同じように自分の目を抉り出して死んだ。ファン・ドールンの絵に隠された秘密をマイヤーズから教えられていたわたしは、友人の死の真相と、ファン・ドールンの秘密を調べに、ドールンとマイヤーズが死んだ南仏の町ラ・ヴェルジュに向かった。ファン・ドールンの絵には、注意深く観察しなければ分からないが、不気味な小さい顔の群れが描かれていた。だが、ラ・ヴェルジュで待っていたのは、絵よりも不気味で恐ろしい真相だった。
ダグラス・E・ウィンター編の、ホラーアンソロジー「ナイト・フライヤー」に収録されている短編小説です。
まず、タイトルに惹かれました。実に意味深なタイトル。意味は本編中で説明されています。
内容は実に不気味で、絵に秘められた謎も不気味なら、事の真相も不気味。ラストも実に不気味な雰囲気で終わります。読んでいて、自分もブルーに塗り固められそうな気分になりました。
作者のデイヴィッド・マレルは、日本では映画「ランボー」の原作者としての方が有名でしょうか。アクションやスリラーを得意とする作家ですが、ホラー作家としても一流の腕前を持っている人です。長編は「トーテム」だけですが、短編がこの作品のように、アンソロジーによく収録されています。
「ナイト・フライヤー」には、マレルの他にスティーヴン・キング、デニス・エチスン、クライヴ・バーカー、トマス・テッシアー、ピーター・ストラウブ、チャールズ・L・グラント、ラムジー・キャンベル、ホイットリー・ストリーバーなど、そうそうたるメンバーが名を連ねていますが、マレルのこの「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」が、白眉といっていいでしょう(キングの表題作も負けずに良いのですが)。
アンソロジーは、いろんな作家の作品が手軽に読めるので、そのジャンルをはじめて読む人には、入門書代わりにちょうど良いと思います。
2015年5月4日月曜日
第33回 春の古書大即売会 みやこめっせリポート
『第33回 春の古書大即売会』リポート
2015年5月3日、京都勧業会館みやこめっせで開催されている「第33回 春の古書大即売会」に、行ってきました。
会場の京都勧業会館「みやこめっせ」
会場入り口はこんな感じ。中の様子は撮影できませんでした。屋内イベントは、天気の心配が要らないのが良いですね。
会場は結構広く、沢山の古書店が様々な古書や映画のポスター、パンフレットなどを売っていました。根付を売ってる店もありました。
古本市では、店ごと、あるいはテントごとに精算することが多いですが、ここでは総合レジで一括精算する方式でした。
外国の方も何人か見かけました。洋書を扱っている店もありましたし、ある人は根付を熱心に見ておられました。
あと、毎年そうなんですが、同時期に弓道の大会か何かがあるらしく、和弓を持った人を多く見かけました。
今回の戦利品。9冊はまだまだ少ないほうですね。総額は5000円くらい。
SF・ホラー関係は3冊だけ。めぼしい本はすでに持っているので、掘り出し物が中心になってきているので、以前のように文庫を20冊購入したりとかはしなくなりましたね。
伊藤典夫・責任編集「世界のSF文学総解説」(自由国民社)は、国内外のSF作品のガイドブック的な本。著者の中にはコレクターとしても知られている人が何人かいるので、貴重な図版が多いのも魅力です。
ハリィ・ハリスンの「殺意の惑星」(ハヤカワ文庫SF)は、あらすじが面白そうだったので購入。いつになったら読めるのかは不明(買ったまま読んでない本が、大量にある為)。
大瀧啓裕・編「ホラー&ファンタシィ傑作選1」(青心社)は<ウィアード・テイルズ>に掲載された作品を集めたアンソロジー。クラーク・アシュトン・・スミス、ロバート・E・ハワード、ロバート・ブロック、ヘンリィ・カットナーなど往年のホラー・ファンタジー作家の名前が並んでいます。
その他は、歴史物を中心に購入。
「ヨーロッパで最も危険な男」(サンケイ新聞社出版局)は、ナチスドイツの武装SS中佐オットー・スコルツェニーの伝記。
梅本弘 「雪中の奇跡」(大日本絵画)は1939年に始まったフィンランドとソ連の戦争、いわゆる「冬戦争」についての本。興味はあったのですが、買いそびれていた本。
森野繁夫「王義之伝論」(白帝社)は書聖王義之の伝記。
伊原弘「宋代中国を旅する」(NTT出版)は、中世中国の旅を中心に、文化や風俗を解説した本。
上2冊は、私が中国史好きなので購入しました。
鈴木一夫・松田忍 他著「戦略・戦術事典」(ナツメ社)は古今東西の戦史について、有名な戦いを取り上げて解説した本。
小宮豊隆・編「寺田寅彦随筆集」(岩波文庫)はタイトルそのままの本。寺田寅彦は「帝都物語」にも出てきた実在の科学者。これも以前から欲しかった本。
天気は生憎の曇り空でしたが、 屋内イベントなので問題なく良かったです。先日の四天王寺から連続の古本市で、財布が若干ピンチです。ゴールデンウィークということで、京都は観光客でごった返していました。バスの本数がもっと多ければ便利なのですが……。
次の古本市は6月、大阪弁天町の「弁天町ORC200古本祭り」ですね。ここも屋内イベントなので、天気の心配は要らないので 多分行くと思います。そのときはまた、リポートします。
2015年5月3日、京都勧業会館みやこめっせで開催されている「第33回 春の古書大即売会」に、行ってきました。
会場の京都勧業会館「みやこめっせ」
会場入り口はこんな感じ。中の様子は撮影できませんでした。屋内イベントは、天気の心配が要らないのが良いですね。
会場は結構広く、沢山の古書店が様々な古書や映画のポスター、パンフレットなどを売っていました。根付を売ってる店もありました。
古本市では、店ごと、あるいはテントごとに精算することが多いですが、ここでは総合レジで一括精算する方式でした。
外国の方も何人か見かけました。洋書を扱っている店もありましたし、ある人は根付を熱心に見ておられました。
あと、毎年そうなんですが、同時期に弓道の大会か何かがあるらしく、和弓を持った人を多く見かけました。
今回の戦利品。9冊はまだまだ少ないほうですね。総額は5000円くらい。
SF・ホラー関係は3冊だけ。めぼしい本はすでに持っているので、掘り出し物が中心になってきているので、以前のように文庫を20冊購入したりとかはしなくなりましたね。
伊藤典夫・責任編集「世界のSF文学総解説」(自由国民社)は、国内外のSF作品のガイドブック的な本。著者の中にはコレクターとしても知られている人が何人かいるので、貴重な図版が多いのも魅力です。
ハリィ・ハリスンの「殺意の惑星」(ハヤカワ文庫SF)は、あらすじが面白そうだったので購入。いつになったら読めるのかは不明(買ったまま読んでない本が、大量にある為)。
大瀧啓裕・編「ホラー&ファンタシィ傑作選1」(青心社)は<ウィアード・テイルズ>に掲載された作品を集めたアンソロジー。クラーク・アシュトン・・スミス、ロバート・E・ハワード、ロバート・ブロック、ヘンリィ・カットナーなど往年のホラー・ファンタジー作家の名前が並んでいます。
その他は、歴史物を中心に購入。
「ヨーロッパで最も危険な男」(サンケイ新聞社出版局)は、ナチスドイツの武装SS中佐オットー・スコルツェニーの伝記。
梅本弘 「雪中の奇跡」(大日本絵画)は1939年に始まったフィンランドとソ連の戦争、いわゆる「冬戦争」についての本。興味はあったのですが、買いそびれていた本。
森野繁夫「王義之伝論」(白帝社)は書聖王義之の伝記。
伊原弘「宋代中国を旅する」(NTT出版)は、中世中国の旅を中心に、文化や風俗を解説した本。
上2冊は、私が中国史好きなので購入しました。
鈴木一夫・松田忍 他著「戦略・戦術事典」(ナツメ社)は古今東西の戦史について、有名な戦いを取り上げて解説した本。
小宮豊隆・編「寺田寅彦随筆集」(岩波文庫)はタイトルそのままの本。寺田寅彦は「帝都物語」にも出てきた実在の科学者。これも以前から欲しかった本。
天気は生憎の曇り空でしたが、 屋内イベントなので問題なく良かったです。先日の四天王寺から連続の古本市で、財布が若干ピンチです。ゴールデンウィークということで、京都は観光客でごった返していました。バスの本数がもっと多ければ便利なのですが……。
次の古本市は6月、大阪弁天町の「弁天町ORC200古本祭り」ですね。ここも屋内イベントなので、天気の心配は要らないので 多分行くと思います。そのときはまた、リポートします。
2015年5月3日日曜日
『イリーガル・エイリアン』感想
『イリーガル・エイリアン』ロバート・J・ソウヤー著/内田昌之訳
ハヤカワSF文庫 初版2002年10月31日
あらすじ・・・アルファケンタウリから来た、トソク族というエイリアンとのファーストコンタクトに成功した人類は、彼らの宇宙船の修理を手伝う代わりに、彼らの進んだ技術の提供を受けられることになった。トソク族との交流は平和なムードで進んでいたが、彼らの接待役の地球人科学者が惨殺されてしまう。右脚と首が切断され、片目と下顎が持ち去られ、胴体は解剖されたかのように切り裂かれ、臓器が取り出されていた。この残忍な殺人事件の容疑者として捕まったのは、トソク族の一人だった。エイリアンを被告人にした、前代未聞の裁判が始まった。
いやあ、面白い! ファーストコンタクト物のSFとして始まり、法廷サスペンスに変化して、さらに! ……と、息つく暇も与えないほどスピーディーに、話が進んでいきます。本当にエイリアンが犯人なのか? だとしたら動機は? 公判前の開示手続きで、提示された証拠を見た弁護士は、エイリアンの有罪を確信します。一体どうやって弁護するのか? そして裁判で、意外な事実が明らかになります。そこからの展開がまた良い。ラストも未来への希望を感じさせる、ワクワクさせる展開になります。
作者のロバート・J・ソウヤーは本作以外にも、ミステリー要素の強いSFを書いています。実力のある作家で、日本での人気も高いようです。最近では「フラッシュフォワード」がアメリカでTVドラマ化されています。
ある漫画でこの本が出てきて、以来読みたくて探していたのですが、ある日ふと立ち寄った古本屋に500円で売っていたので、即行で購入しました。高い期待を抱いて読むと、がっかりすることもありますが、この本は期待以上でした。
分量としては厚めの本ですが、とても読み易いので、詰まることも無く読めるでしょう。お勧めです。
ホラー小説が続いたので、今回はSFでした。
2015年5月3日。みやこめっせ春の古書大即売会に行ってきます。
ハヤカワSF文庫 初版2002年10月31日
あらすじ・・・アルファケンタウリから来た、トソク族というエイリアンとのファーストコンタクトに成功した人類は、彼らの宇宙船の修理を手伝う代わりに、彼らの進んだ技術の提供を受けられることになった。トソク族との交流は平和なムードで進んでいたが、彼らの接待役の地球人科学者が惨殺されてしまう。右脚と首が切断され、片目と下顎が持ち去られ、胴体は解剖されたかのように切り裂かれ、臓器が取り出されていた。この残忍な殺人事件の容疑者として捕まったのは、トソク族の一人だった。エイリアンを被告人にした、前代未聞の裁判が始まった。
いやあ、面白い! ファーストコンタクト物のSFとして始まり、法廷サスペンスに変化して、さらに! ……と、息つく暇も与えないほどスピーディーに、話が進んでいきます。本当にエイリアンが犯人なのか? だとしたら動機は? 公判前の開示手続きで、提示された証拠を見た弁護士は、エイリアンの有罪を確信します。一体どうやって弁護するのか? そして裁判で、意外な事実が明らかになります。そこからの展開がまた良い。ラストも未来への希望を感じさせる、ワクワクさせる展開になります。
作者のロバート・J・ソウヤーは本作以外にも、ミステリー要素の強いSFを書いています。実力のある作家で、日本での人気も高いようです。最近では「フラッシュフォワード」がアメリカでTVドラマ化されています。
ある漫画でこの本が出てきて、以来読みたくて探していたのですが、ある日ふと立ち寄った古本屋に500円で売っていたので、即行で購入しました。高い期待を抱いて読むと、がっかりすることもありますが、この本は期待以上でした。
分量としては厚めの本ですが、とても読み易いので、詰まることも無く読めるでしょう。お勧めです。
ホラー小説が続いたので、今回はSFでした。
2015年5月3日。みやこめっせ春の古書大即売会に行ってきます。
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