『ぶわん・ばっ!』
シオドア・スタージョン著/大森望訳
河出書房新社「不思議のひと触れ」所収 初版2003年12月30日
あらすじ・・・「一流のバンドでタイコを叩くにはどうすればいいか?」という私の質問に、レッドは昔話で答えてくれた。アマチュア時代、それなりの腕を持っていたレッドは天狗になっていた。演奏の合間に客席で休憩することなどしょっちゅうだった。
その日も客席で休憩していたレッドは、顔見知りで貸し船業の父親の手伝いをしているマニュエルという青年が、自分の代わりにドラムを叩いているのに気づいた。彼の演奏は最高で、バンドのメンバーも今まで聞いたことがない程、素晴らしい演奏をしていた。
ある日、川の中州で行われる、野外ダンスパーティーで演奏することになったレッドは、その場に音楽業界の大物が、新しいドラマーを探しに来ることを知った。しかしバンドのメンバーは、身勝手なレッドよりマニュエルに演奏させようとしていた。そこでレッドは、マニュエルの父親を騙して急用で出かけさせ、彼が船の操縦で手が離せない様にした。計画通りマニュエルはドラムを叩けなかったが、レッドの演奏も散々で大物をがっかりさせた。
パーティーが終わり、皆マニュエルの操縦する船に乗った。すると、船が異様な音を立て始めた。
ぶわん・ばっ・しっしゅ・しーば
ぼわん・ばっ・しっしゅ・しーぼ
マニュエルが船をドラムにして、演奏を始めたのだ。
この話は一見すると、普通の音楽小説のように見えます。しかし、ラスト一行でこの物語が急に、SFに変わるのです。本当に、最後の一行、最後の一文節で。この本には、色々なタイプの短編が収録されていて、どれもいい作品なのですが、この最後の一行の力によって、この話が一番印象に残りました。
シオドア・スタージョンは、アメリカの有名なSF作家で、長編では「人間以上」が日本では有名です。また「あらゆるものの九割はクズである」という、いわゆる「スタージョンの法則」でも知られています。短編作家としても有名で、日本でも多くの短編集が出版されています。
「不思議のひと触れ」は、河出書房新社の「奇想コレクション」の一冊です。他にも様々な作家の「すこし不思議な物語」の名作を作家別に編集したシリーズだそうです。ダン・シモンズの「夜更けのエントロピー」とか、読んでみたいですね。
2015年12月11日金曜日
2015年11月20日金曜日
『夜襲部隊』感想
『夜襲部隊』
ロバート・R・マキャモン著/山田順子訳
新潮文庫「ナイト・ソウルズ」所収 初版1992年7月25日
あらすじ・・・嵐の夜、食堂「ビッグ・ボブの店」 に避難するように、3組の客がやって来た。警官のデニス、4人家族、そしてかなり危なっかしい運転の男プライス。プライスはベトナム帰還兵であり、戦場で仲間を見捨てて逃げ出したことを気に病んでいた。しかも彼は、ベトナムで特殊な枯れ葉剤を浴び、幻を実体化させる力を身につけていた。別の町で起きた大量殺人に、プライスが関わっていると感じたデニスは、彼を逮捕しようとして気絶させてしまう。直後、嵐の中をヘリが飛ぶ音が聞こえ、店の外の闇を照明弾が照らした。そして嵐の中から、夜襲部隊がビッグ・ボブの店に近づいてきた。
夢や幻が現実を侵食するというのはありふれたテーマですが、力量のある作家が書くと実にスリリングで怖い。アメリカのホラーには、ベトナム戦争に関する話が多く見られますが、あの戦争がアメリカに悪い意味で、大きな影響を与えていることがわかります。
この作品は短編ですが、最後を読むと長編小説の第一部のようにも感じられます。マキャモン、長編化してくれないかなあ……。
ロバート・R・マキャモンについては「水の底」の記事を参照してください。
「ナイト・ソウルズ」については「ソフト病」の記事を参照してください。
「夜襲部隊」は、アメリカのTVドラマ 「新トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)」の一編として映像化されています。ちょうど今刊行中のDVD付きマガジンに、この話を映像化した「帰還兵」が収録された巻が発売中でした。早速買って鑑賞しましたが、なかなか原作に忠実で良かったと思います。闇から現れる夜襲部隊が実に不気味でした。
ロバート・R・マキャモン著/山田順子訳
新潮文庫「ナイト・ソウルズ」所収 初版1992年7月25日
あらすじ・・・嵐の夜、食堂「ビッグ・ボブの店」 に避難するように、3組の客がやって来た。警官のデニス、4人家族、そしてかなり危なっかしい運転の男プライス。プライスはベトナム帰還兵であり、戦場で仲間を見捨てて逃げ出したことを気に病んでいた。しかも彼は、ベトナムで特殊な枯れ葉剤を浴び、幻を実体化させる力を身につけていた。別の町で起きた大量殺人に、プライスが関わっていると感じたデニスは、彼を逮捕しようとして気絶させてしまう。直後、嵐の中をヘリが飛ぶ音が聞こえ、店の外の闇を照明弾が照らした。そして嵐の中から、夜襲部隊がビッグ・ボブの店に近づいてきた。
夢や幻が現実を侵食するというのはありふれたテーマですが、力量のある作家が書くと実にスリリングで怖い。アメリカのホラーには、ベトナム戦争に関する話が多く見られますが、あの戦争がアメリカに悪い意味で、大きな影響を与えていることがわかります。
この作品は短編ですが、最後を読むと長編小説の第一部のようにも感じられます。マキャモン、長編化してくれないかなあ……。
ロバート・R・マキャモンについては「水の底」の記事を参照してください。
「ナイト・ソウルズ」については「ソフト病」の記事を参照してください。
「夜襲部隊」は、アメリカのTVドラマ 「新トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)」の一編として映像化されています。ちょうど今刊行中のDVD付きマガジンに、この話を映像化した「帰還兵」が収録された巻が発売中でした。早速買って鑑賞しましたが、なかなか原作に忠実で良かったと思います。闇から現れる夜襲部隊が実に不気味でした。
2015年10月30日金曜日
半年が過ぎました
ブログを始めて半年が過ぎました。
未だにbloggerの使い方が、よく分かっていません。フォントが違ったり、レイアウトが崩れているのはそのせいです。もっと勉強しないといけませんね。
半年経つのに記事の数が30に満たないのは問題ですね。まあ、週一更新と考えると、頑張っている方ですかね? もっと定期的に更新できるといいのですが……。
ネットでbloggerの事をもっと調べて、充実したものにしたいです。あと、出来るだけ読みやすいブログにしたいです。
統計を見ると、「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」がダントツで読まれています。確かに名作ですが、ほぼ二日おきくらいに一度は読まれているようです。Googleで調べてみたら、このブログが結構上位に表示されていました。特に検索順位を上げる努力はしてないのですが。Wikipediaより上位に表示されていたのには笑いましたが。
あと、私はFirefox使いなので、このブログもFirefoxで書いています。なので、Firefox以外のブラウザで見ると、レイアウトが崩れているかもしれません。Googleのブログサービスを使っておいて、Chromeを使っていないなんて……、Googleに喧嘩売ってるわけじゃないですよ?!
ネット環境の引っ越し、終わりました。これまではWimax(シングル)だったのですが、J:comのケーブルテレビのインターネット(120Mコース)にしました。ネットでの評判は散々だったんですが、TVと電話をすでに契約していたので、モデムを取り付けるだけの簡単工事で済むので、J:comにしました。調べたらeo光も簡単な工事で済むみたいでしたが……、不満を感じたら乗り換えましょうかね? 今のところ特に不満はありませんが。速度も無線LANで16~18Mbpsくらい出てますし(USENのスピードテストです)。Wimaxの頃、理論値最高40Mbpsの所、2~4Mbpsが平均でしたから(調子がいいと5~6Mbps)、三倍したらこれぐらいでしょう。あとは回線が安定して繋がり続けてくれればいいのですが。とりあえずは年末まで様子見します。
こんな半年かけてようやく300PVに届くような過疎ブログですが、これからも続けていきたいです。
未だにbloggerの使い方が、よく分かっていません。フォントが違ったり、レイアウトが崩れているのはそのせいです。もっと勉強しないといけませんね。
半年経つのに記事の数が30に満たないのは問題ですね。まあ、週一更新と考えると、頑張っている方ですかね? もっと定期的に更新できるといいのですが……。
ネットでbloggerの事をもっと調べて、充実したものにしたいです。あと、出来るだけ読みやすいブログにしたいです。
統計を見ると、「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」がダントツで読まれています。確かに名作ですが、ほぼ二日おきくらいに一度は読まれているようです。Googleで調べてみたら、このブログが結構上位に表示されていました。特に検索順位を上げる努力はしてないのですが。Wikipediaより上位に表示されていたのには笑いましたが。
あと、私はFirefox使いなので、このブログもFirefoxで書いています。なので、Firefox以外のブラウザで見ると、レイアウトが崩れているかもしれません。Googleのブログサービスを使っておいて、Chromeを使っていないなんて……、Googleに喧嘩売ってるわけじゃないですよ?!
ネット環境の引っ越し、終わりました。これまではWimax(シングル)だったのですが、J:comのケーブルテレビのインターネット(120Mコース)にしました。ネットでの評判は散々だったんですが、TVと電話をすでに契約していたので、モデムを取り付けるだけの簡単工事で済むので、J:comにしました。調べたらeo光も簡単な工事で済むみたいでしたが……、不満を感じたら乗り換えましょうかね? 今のところ特に不満はありませんが。速度も無線LANで16~18Mbpsくらい出てますし(USENのスピードテストです)。Wimaxの頃、理論値最高40Mbpsの所、2~4Mbpsが平均でしたから(調子がいいと5~6Mbps)、三倍したらこれぐらいでしょう。あとは回線が安定して繋がり続けてくれればいいのですが。とりあえずは年末まで様子見します。
こんな半年かけてようやく300PVに届くような過疎ブログですが、これからも続けていきたいです。
『海外SFショート・ショート秀作選』感想
『海外SFショート・ショート秀作選』
アイザック・アシモフ編/風見潤訳
集英社文庫コバルトシリーズ 初版1983年10月15日
収録作
「ホーム・チーム・アドヴァンテージ」ジャック・C・ホールドマン二世
「コイン・ランドリィの一夜」ジェイン・ロバーツ
「闘技場にて」ブライアン・W・オールディス
「ひながた」フレドリック・ブラウン
「百獣の王」フィリップ・ホセ・ファーマー
「みなさん、お静かに!」アーサー・C・クラーク
「武器」フレドリック・ブラウン
「ヴォン・グームの手」ヴィクター・コントスキ
「プロトタフ」キース・ローマー
「セールスマンの厄日」フリッツライバー
「回答」フレドリック・ブラウン
「幽霊自動車」デヴィッド・メイスン
「九十億の神の御名」アーサー・C・クラーク
「車輪」ジョン・ウィンダム
「優しく雨ぞ降りしきる」レイ・ブラッドベリ
「女神の首」ジョゼフ・バーガー
「”地球よ、おまえをわすれたら……”」アーサー・C・クラーク
ブラウンとクラークが三作づつ選ばれてます。フレドリック・ブラウンは、短編の名手と知られていますから当然ですね。「ひながた」は、ティプトリーの「ラセンウジバエ解決法」と似たコンセプトの作品に思いました。最後の一行にある「オチ」がいいですね。
アーサー・C・クラークも、日本で多くの短編集が出版されています。三作の中では、「みなさん、お静かに!」が面白かったです。
ブラッドベリの「優しく雨ぞ降りしきる」は、連作短編集「火星年代記」の中の一編。「火星年代記」もいい作品が沢山収録されています。
「ヴォン・グームの手」「幽霊自動車」「女神の首」の三人の作者については、よくわからないそうです。ただ、三作ともなかなか面白い話です。特に「ヴォン・グームの手」と「幽霊自動車」は、ホラーっぽい雰囲気があって好みの作品です。
「ホーム・チーム・アドヴァンテージ」の作者ジャック・C・ホールドマン二世は、SF作家のジョー・ホールドマンのお兄さんだそうです。野球の試合で負けた地球人が、アルクトゥールス人に食べられることになるという、なかなか悪趣味な話です。
ショートショートのアンソロジーということで、作品ごとではなく一冊まるごとの感想になりました。コバルトシリーズって、昔は少女小説だけじゃなく、こういうアンソロジーも出してたんですね。今でも出してくれませんかねぇ?
アイザック・アシモフ編/風見潤訳
集英社文庫コバルトシリーズ 初版1983年10月15日
収録作
「ホーム・チーム・アドヴァンテージ」ジャック・C・ホールドマン二世
「コイン・ランドリィの一夜」ジェイン・ロバーツ
「闘技場にて」ブライアン・W・オールディス
「ひながた」フレドリック・ブラウン
「百獣の王」フィリップ・ホセ・ファーマー
「みなさん、お静かに!」アーサー・C・クラーク
「武器」フレドリック・ブラウン
「ヴォン・グームの手」ヴィクター・コントスキ
「プロトタフ」キース・ローマー
「セールスマンの厄日」フリッツライバー
「回答」フレドリック・ブラウン
「幽霊自動車」デヴィッド・メイスン
「九十億の神の御名」アーサー・C・クラーク
「車輪」ジョン・ウィンダム
「優しく雨ぞ降りしきる」レイ・ブラッドベリ
「女神の首」ジョゼフ・バーガー
「”地球よ、おまえをわすれたら……”」アーサー・C・クラーク
ブラウンとクラークが三作づつ選ばれてます。フレドリック・ブラウンは、短編の名手と知られていますから当然ですね。「ひながた」は、ティプトリーの「ラセンウジバエ解決法」と似たコンセプトの作品に思いました。最後の一行にある「オチ」がいいですね。
アーサー・C・クラークも、日本で多くの短編集が出版されています。三作の中では、「みなさん、お静かに!」が面白かったです。
ブラッドベリの「優しく雨ぞ降りしきる」は、連作短編集「火星年代記」の中の一編。「火星年代記」もいい作品が沢山収録されています。
「ヴォン・グームの手」「幽霊自動車」「女神の首」の三人の作者については、よくわからないそうです。ただ、三作ともなかなか面白い話です。特に「ヴォン・グームの手」と「幽霊自動車」は、ホラーっぽい雰囲気があって好みの作品です。
「ホーム・チーム・アドヴァンテージ」の作者ジャック・C・ホールドマン二世は、SF作家のジョー・ホールドマンのお兄さんだそうです。野球の試合で負けた地球人が、アルクトゥールス人に食べられることになるという、なかなか悪趣味な話です。
ショートショートのアンソロジーということで、作品ごとではなく一冊まるごとの感想になりました。コバルトシリーズって、昔は少女小説だけじゃなく、こういうアンソロジーも出してたんですね。今でも出してくれませんかねぇ?
2015年10月12日月曜日
天神さんの古本まつり・第十五回四天王寺秋の大古本祭リポート
『天神さんの古本まつり・第十五回四天王寺秋の大古本祭』リポート
2015年10月11日、 天神さんの古本まつりと、第十五回四天王寺秋の大古本祭に行ってきました。この2つの古本市は毎年日程がかぶる上に、休みがこの日しかなかったので、両方行ってみることにしました。
まずは天満天神繁昌亭の直ぐ側にある、大阪天満宮に。最寄り駅は大阪地下鉄堺筋線、南森町駅です。
天気は生憎の曇り。雨がぱらつく事もありましたが、なんとかもってくれました。 四天王寺と比べると規模は小さいですが、それでも20店ほどが出店していました。会計は各店毎にする形式。
百均コーナーも有り、なかなかの人出でした。
次は地下鉄谷町線に乗り、四天王寺前夕陽ケ丘駅へ。徒歩数分で四天王寺着。
今年の春よりテントの数が減っているような気が……。
以前はお好み焼きの屋台があったのですが、最近は見ません。やっぱり鳩が多いからですかね?
こちらもなかなかの人出。ちんどん屋さんが宣伝に回ってました(曲は何故か「いとしのエリー」でしたが)。
五重塔は耐震改修工事中でした。
今回の戦利品はこちら。
2ヶ所回って9冊は少なめ。近々ネット環境の引っ越しを予定しているので、出費は出来る限り抑えました。
天神さんで買ったのは6冊。四天王寺では3冊。
「火星航路SOS」(ハヤカワ文庫SF)は、E・E・スミスのスペースオペラ。
R・ゼラズニイ&F・セイバーヘーゲン著「コイルズ」(創元推理文庫)は、作者で選びました。豪華な共著ですね。
風見潤・安田均編「世界SFパロディ傑作選」(講談社文庫)は、タイトル通りSF小説のパロディを集めたアンソロジー。作家陣は、ポール・アンダースン&ゴードン・ディクスン、フィリップ・ホセ・ファーマー、ロジャー・ゼラズニイなど。ゼラズニイの「吸血機伝説」は、別のアンソロジーで読んだことがあります。
ホラーはこの2冊。
「異形コレクション 帰還」(光文社文庫)は、井上雅彦監修のアンソロジー。これは廣済堂文庫から光文社文庫に移った最初の本です。太田忠司、友成純一、小中千昭、田中文雄などなど、相変わらずの豪華メンバーです。
コリン・ウィルスン著「ロイガーの復活」(ハヤカワ文庫NVモダンホラーセレクション)は、同じ話が収録された本(アンソロジーだったと思います)を持っているのですが、単体の本を見つけてしまい衝動買い。
「シートン動物記 普及版15」(評論社)内山賢次訳は、ジェヴォーダンのラ・ベート、フランスの狼王クールトーの2頭の狼の話が乗っているので購入しました。シートンがクールトーの話を書いているのは知っていたのですが、ラ・ベートの話も書いていたのは知りませんでした。
四天王寺ではSFマガジンを3冊買いました。1982年8・9月号と1985年4月号です。
前者はジョージ・R・R・マーティンの「ナイトフライヤー」が前後編で掲載されているものです。
後者はダニエル・F・ギャルイ(ガロイ)の「今宵、空は落ち」の前編が掲載されています。後編だけ読んだことがあるので、これで全編読むことができます。あと、ジョージ・アレック・エフィンジャーの「まったく、何でも知ってるエイリアン」が掲載されていたのは嬉しい誤算でした。山本弘さんの本でタイトルだけ知っていたのですが、内容がどんなものか気になっていたんです。
天神さんの古本まつりは13日まで、四天王寺秋の大古本祭は14日まで開催されています。……来年は日程ずらしてもらえませんかねぇ……。
2015年10月11日、 天神さんの古本まつりと、第十五回四天王寺秋の大古本祭に行ってきました。この2つの古本市は毎年日程がかぶる上に、休みがこの日しかなかったので、両方行ってみることにしました。
まずは天満天神繁昌亭の直ぐ側にある、大阪天満宮に。最寄り駅は大阪地下鉄堺筋線、南森町駅です。
天気は生憎の曇り。雨がぱらつく事もありましたが、なんとかもってくれました。 四天王寺と比べると規模は小さいですが、それでも20店ほどが出店していました。会計は各店毎にする形式。
百均コーナーも有り、なかなかの人出でした。
次は地下鉄谷町線に乗り、四天王寺前夕陽ケ丘駅へ。徒歩数分で四天王寺着。
今年の春よりテントの数が減っているような気が……。
以前はお好み焼きの屋台があったのですが、最近は見ません。やっぱり鳩が多いからですかね?
こちらもなかなかの人出。ちんどん屋さんが宣伝に回ってました(曲は何故か「いとしのエリー」でしたが)。
五重塔は耐震改修工事中でした。
今回の戦利品はこちら。
2ヶ所回って9冊は少なめ。近々ネット環境の引っ越しを予定しているので、出費は出来る限り抑えました。
天神さんで買ったのは6冊。四天王寺では3冊。
「火星航路SOS」(ハヤカワ文庫SF)は、E・E・スミスのスペースオペラ。
R・ゼラズニイ&F・セイバーヘーゲン著「コイルズ」(創元推理文庫)は、作者で選びました。豪華な共著ですね。
風見潤・安田均編「世界SFパロディ傑作選」(講談社文庫)は、タイトル通りSF小説のパロディを集めたアンソロジー。作家陣は、ポール・アンダースン&ゴードン・ディクスン、フィリップ・ホセ・ファーマー、ロジャー・ゼラズニイなど。ゼラズニイの「吸血機伝説」は、別のアンソロジーで読んだことがあります。
ホラーはこの2冊。
「異形コレクション 帰還」(光文社文庫)は、井上雅彦監修のアンソロジー。これは廣済堂文庫から光文社文庫に移った最初の本です。太田忠司、友成純一、小中千昭、田中文雄などなど、相変わらずの豪華メンバーです。
コリン・ウィルスン著「ロイガーの復活」(ハヤカワ文庫NVモダンホラーセレクション)は、同じ話が収録された本(アンソロジーだったと思います)を持っているのですが、単体の本を見つけてしまい衝動買い。
「シートン動物記 普及版15」(評論社)内山賢次訳は、ジェヴォーダンのラ・ベート、フランスの狼王クールトーの2頭の狼の話が乗っているので購入しました。シートンがクールトーの話を書いているのは知っていたのですが、ラ・ベートの話も書いていたのは知りませんでした。
四天王寺ではSFマガジンを3冊買いました。1982年8・9月号と1985年4月号です。
前者はジョージ・R・R・マーティンの「ナイトフライヤー」が前後編で掲載されているものです。
後者はダニエル・F・ギャルイ(ガロイ)の「今宵、空は落ち」の前編が掲載されています。後編だけ読んだことがあるので、これで全編読むことができます。あと、ジョージ・アレック・エフィンジャーの「まったく、何でも知ってるエイリアン」が掲載されていたのは嬉しい誤算でした。山本弘さんの本でタイトルだけ知っていたのですが、内容がどんなものか気になっていたんです。
天神さんの古本まつりは13日まで、四天王寺秋の大古本祭は14日まで開催されています。……来年は日程ずらしてもらえませんかねぇ……。
2015年10月5日月曜日
『ウォッチャーズ』感想
『ウォッチャーズ』
ディーン・R・クーンツ著/松本剛史訳
文春文庫 初版1993年6月10日
あらすじ・・・愛する人を次々失い絶望した男トラヴィスは、自殺しようと向かった森で一頭のゴールデンレトリーヴァーと出会った。そして正体不明の何者かに追われ、トラヴィスはレトリーヴァーを連れ街に戻った。まるで人間のような知性を持ったその犬に、トラヴィスは「アインシュタイン」と名付けた。
偏執狂的な伯母に監禁されて育ったノーラは、ストーカーに襲われそうになった時アインシュタインに助けられ、トラヴィスと出会う。
殺した相手から命の力を吸い取れると信じているイカれた殺し屋ヴィンス・ナスコは、偶然アインシュタインの存在を知り、手に入れようと追跡を始めた。
NSA(国家安全保障局)のレム・ジョンソンは、バノダイン研究所から逃げ出した二頭の実験体を追跡していた。一頭は知能を人工的に高められたゴールデンレトリーヴァー犬。もう一頭は、醜悪で、凶暴で、奸智に長けた生物兵器「アウトサイダー」だ。
行く先々で殺戮を繰り返しながら、アウトサイダーは犬を追い続ける。犬を殺すこと。それだけがアウトサイダーの目的だった。
様々な存在から狙われるアインシュタインと「彼」を守ろうとするトラヴィスとノーラは、身元を偽り逃避行を続けるが、追手はすぐそこまで迫っていた。
面白い! クーンツの作品では一番好きかもしれません。物語は最初から最後まで疾走するようで、中だるみしません。上下二分冊の分量をまったく感じさせませんでした。
アインシュタインは勿論のこと、トラヴィス、ノーラ、ヴィンス、レムなど、登場人物は皆、魅力的です。アインシュタインを狙う者たちも、守る者たちも個性的な人物ばかりです。
そしてなんといっても、この作品に登場するキャラクターの中で、一番魅力的なのが「アウトサイダー」です。ただの醜悪なモンスターと思っていたのに、その真実の姿を知った時、泣きそうになりました。そして最後の対決……。
犬好きの人必読の本ですが、モンスター好きの人も必読です。
作者のディーン・R・クーンツは、キングと並び称されるモダンホラー作家ですが、その作風は純粋なホラーというより、ジャンルミックスとよく言われています。売れない時代に様々なジャンルの小説を書いてきた経験が、メジャーになって才能として開花したみたいです。他には「ファントム」「ストレンジャーズ」「ドラゴンティアーズ」など読みましたが、どれも面白かったです。
ディーン・R・クーンツ著/松本剛史訳
文春文庫 初版1993年6月10日
あらすじ・・・愛する人を次々失い絶望した男トラヴィスは、自殺しようと向かった森で一頭のゴールデンレトリーヴァーと出会った。そして正体不明の何者かに追われ、トラヴィスはレトリーヴァーを連れ街に戻った。まるで人間のような知性を持ったその犬に、トラヴィスは「アインシュタイン」と名付けた。
偏執狂的な伯母に監禁されて育ったノーラは、ストーカーに襲われそうになった時アインシュタインに助けられ、トラヴィスと出会う。
殺した相手から命の力を吸い取れると信じているイカれた殺し屋ヴィンス・ナスコは、偶然アインシュタインの存在を知り、手に入れようと追跡を始めた。
NSA(国家安全保障局)のレム・ジョンソンは、バノダイン研究所から逃げ出した二頭の実験体を追跡していた。一頭は知能を人工的に高められたゴールデンレトリーヴァー犬。もう一頭は、醜悪で、凶暴で、奸智に長けた生物兵器「アウトサイダー」だ。
行く先々で殺戮を繰り返しながら、アウトサイダーは犬を追い続ける。犬を殺すこと。それだけがアウトサイダーの目的だった。
様々な存在から狙われるアインシュタインと「彼」を守ろうとするトラヴィスとノーラは、身元を偽り逃避行を続けるが、追手はすぐそこまで迫っていた。
面白い! クーンツの作品では一番好きかもしれません。物語は最初から最後まで疾走するようで、中だるみしません。上下二分冊の分量をまったく感じさせませんでした。
アインシュタインは勿論のこと、トラヴィス、ノーラ、ヴィンス、レムなど、登場人物は皆、魅力的です。アインシュタインを狙う者たちも、守る者たちも個性的な人物ばかりです。
そしてなんといっても、この作品に登場するキャラクターの中で、一番魅力的なのが「アウトサイダー」です。ただの醜悪なモンスターと思っていたのに、その真実の姿を知った時、泣きそうになりました。そして最後の対決……。
犬好きの人必読の本ですが、モンスター好きの人も必読です。
作者のディーン・R・クーンツは、キングと並び称されるモダンホラー作家ですが、その作風は純粋なホラーというより、ジャンルミックスとよく言われています。売れない時代に様々なジャンルの小説を書いてきた経験が、メジャーになって才能として開花したみたいです。他には「ファントム」「ストレンジャーズ」「ドラゴンティアーズ」など読みましたが、どれも面白かったです。
2015年9月24日木曜日
『ずっとお城で暮らしてる』感想
『ずっとお城で暮らしてる』
シャーリー・ジャクスン著/市田泉訳
創元推理文庫 初版2007年8月24日
あらすじ・・・メアリ・キャサリン(メリキャット)・ブラックウッドは、姉のコンスタンス(コニー)と伯父のジュリアンの3人で屋敷に住んでいる。この家ではかつて、メリキャットの両親、弟、伯母が毒殺される事件が起きていた。姉のコニーが犯人と疑われたが、裁判の結果無罪となった。
村の住人たちはコニーが犯人と決めつけ、ブラックウッド家に悪意を持っていた。子どもたちは歌う。
”メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん”
”とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット”
”メリキャット おやすみなさいと コニー姉さん”
”深さ十フィートの お墓の中で!”
それでもメリキャットは姉をかばい、伯父の世話をして狂気に囚われながらも、平和に過ごしていた。従兄のチャールズが来訪するまでは……。
なんか、読んでいて混乱してしまう話です。登場人物の狂気が、読者である私に感染するみたいに。メリキャットに向けられる村人の悪意には、吐き気すら覚えます。まともな人間がほとんど登場しないんですよね。
それでも、メリキャットに感情移入して読んでいたら、伯父の一言ですべてが崩れ去ってしまいます。ネタバレを防ぐため詳しくは書きませんが、「メリキャットって、何者なんだ?!」ってかんじです。まあ、伯父もまともな精神状態ではないので、頭から信じることはできませんが。
とにかく、悪意と狂気に酔いそうな作品です。
作者のシャーリー・ジャクスンは、アメリカの女性作家で短編「くじ」(これも、たいがいきっついはなしです。)や長編「山荘綺談」(「たたり」「ホーンティング」のタイトルで映画化されています。)で有名です。人間の悪意や狂気を描かせたら、右に出る人はいないんじゃないですかね? 「魔女」の異名は伊達じゃありません。
以前、創元推理文庫で「はじめて読むならこの一冊」というキャンペーンをやっていて、ジャクスンはこの「ずっとお城で暮らしてる」が選ばれていたんですが、はじめて読むジャクスンがこれって……。まあ「くじ」よりはいいか……。
シャーリー・ジャクスン著/市田泉訳
創元推理文庫 初版2007年8月24日
あらすじ・・・メアリ・キャサリン(メリキャット)・ブラックウッドは、姉のコンスタンス(コニー)と伯父のジュリアンの3人で屋敷に住んでいる。この家ではかつて、メリキャットの両親、弟、伯母が毒殺される事件が起きていた。姉のコニーが犯人と疑われたが、裁判の結果無罪となった。
村の住人たちはコニーが犯人と決めつけ、ブラックウッド家に悪意を持っていた。子どもたちは歌う。
”メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん”
”とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット”
”メリキャット おやすみなさいと コニー姉さん”
”深さ十フィートの お墓の中で!”
それでもメリキャットは姉をかばい、伯父の世話をして狂気に囚われながらも、平和に過ごしていた。従兄のチャールズが来訪するまでは……。
なんか、読んでいて混乱してしまう話です。登場人物の狂気が、読者である私に感染するみたいに。メリキャットに向けられる村人の悪意には、吐き気すら覚えます。まともな人間がほとんど登場しないんですよね。
それでも、メリキャットに感情移入して読んでいたら、伯父の一言ですべてが崩れ去ってしまいます。ネタバレを防ぐため詳しくは書きませんが、「メリキャットって、何者なんだ?!」ってかんじです。まあ、伯父もまともな精神状態ではないので、頭から信じることはできませんが。
とにかく、悪意と狂気に酔いそうな作品です。
作者のシャーリー・ジャクスンは、アメリカの女性作家で短編「くじ」(これも、たいがいきっついはなしです。)や長編「山荘綺談」(「たたり」「ホーンティング」のタイトルで映画化されています。)で有名です。人間の悪意や狂気を描かせたら、右に出る人はいないんじゃないですかね? 「魔女」の異名は伊達じゃありません。
以前、創元推理文庫で「はじめて読むならこの一冊」というキャンペーンをやっていて、ジャクスンはこの「ずっとお城で暮らしてる」が選ばれていたんですが、はじめて読むジャクスンがこれって……。まあ「くじ」よりはいいか……。
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