『夜襲部隊』
ロバート・R・マキャモン著/山田順子訳
新潮文庫「ナイト・ソウルズ」所収 初版1992年7月25日
あらすじ・・・嵐の夜、食堂「ビッグ・ボブの店」 に避難するように、3組の客がやって来た。警官のデニス、4人家族、そしてかなり危なっかしい運転の男プライス。プライスはベトナム帰還兵であり、戦場で仲間を見捨てて逃げ出したことを気に病んでいた。しかも彼は、ベトナムで特殊な枯れ葉剤を浴び、幻を実体化させる力を身につけていた。別の町で起きた大量殺人に、プライスが関わっていると感じたデニスは、彼を逮捕しようとして気絶させてしまう。直後、嵐の中をヘリが飛ぶ音が聞こえ、店の外の闇を照明弾が照らした。そして嵐の中から、夜襲部隊がビッグ・ボブの店に近づいてきた。
夢や幻が現実を侵食するというのはありふれたテーマですが、力量のある作家が書くと実にスリリングで怖い。アメリカのホラーには、ベトナム戦争に関する話が多く見られますが、あの戦争がアメリカに悪い意味で、大きな影響を与えていることがわかります。
この作品は短編ですが、最後を読むと長編小説の第一部のようにも感じられます。マキャモン、長編化してくれないかなあ……。
ロバート・R・マキャモンについては「水の底」の記事を参照してください。
「ナイト・ソウルズ」については「ソフト病」の記事を参照してください。
「夜襲部隊」は、アメリカのTVドラマ 「新トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)」の一編として映像化されています。ちょうど今刊行中のDVD付きマガジンに、この話を映像化した「帰還兵」が収録された巻が発売中でした。早速買って鑑賞しましたが、なかなか原作に忠実で良かったと思います。闇から現れる夜襲部隊が実に不気味でした。
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