『水の底』
ロバート・R・マキャモン著/田中一江訳
ハヤカワ文庫NV「ハードシェル」所収 初版1990年3月31日
あらすじ・・・夏の終わり、グレン・コールダーはプールにやって来ていた。この夏、息子のニールがここで溺れ死んだのだ。ただの事故ではない。このプールには人を襲い、生命を吸い取る怪物が潜んでいるのだ。怪物は宇宙から飛来し、近くの湖に落ちた。プールは湖から水を汲み上げ、排水している。配管を通って、怪物はプールに潜り込んだのだ。ニールの首すじについていたあざに疑問を感じたグレンは、新聞記事などを調べ、怪物という結論に至った。「パパ! 溺れたんじゃないんだ! あいつに殺されたんだ!」という息子の声を聞きながら、グレンは水中銃を手にプールに忍び込んだ。息子の復讐をするために……。
泳げない人が読んだら、更に泳ぐのが嫌いになりそうな話です。私も子供の頃、海の深いところには何かが潜んでいそうで、怖くて砂浜近くでばかり泳いでいました。そんな子供の頃の恐怖心を呼び覚ますような展開で、グレンと怪物の対決は(水中の戦いということもあってか)息詰まる物になっています。特にグレンがプールに落とした水中銃を拾った時、排水口の近くで光る物を見つけた時の戦慄は……。
ロバート・R・マキャモンは、キング、クーンツと肩を並べるホラー作家の一人です。代表作には、「奴らは渇いている」「スティンガー」「スワンソング」などがあります。「マイン」あたりから、スーパーナチュラルなホラーを書かなくなって残念です。
「ハードシェル」は「ナイトヴィジョン」というアンソロジーのシリーズの一冊です。マキャモンの他には、ディーン・R・クーンツ、エドワード・ブライアントが書いています。この「ナイトヴィジョン」は、一人3万語の割り当てを自由に使って書いていいという、ちょっと変わったアンソロジーになっています。シリーズからは他に、キング、ダン・シモンズ、ジョージ・R・R・マーティンの「スニーカー」が翻訳されています。他にもデイヴィッド・マレル、ラムジー・キャンベル、クライブ・バーカー、F・ポール・ウィルソン、リチャード・レイモンなどが参加しているので、他の巻も翻訳して欲しいものです。
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