2015年6月12日金曜日

『サイコ』(マイケル・オドナヒュー)感想

『サイコ』
マイケル・オドナヒュー著/浜野アキオ訳
扶桑社ミステリー「ゴーサム・カフェで昼食を 22の異常な愛の物語」所収 初版1996年5月30日

 あらすじ・・・二月中旬、サイコは複数の銃を持って部屋を出る。まず、隣の部屋に牛乳を配達しに来た男をショットガンで一発。アパートの外で、ローラースケートを履いた黒人の女子高生を。オフィスビルに入ると、エレベーターの中で、少年と少女を。ビルの屋上から、公園でくつろぐ老夫婦をスコープ付きのライフルで。通報を受けて駆けつけた、男女の警察官を返り討ちに。帰り道にあるペットショップの二羽のウサギをショーウィンドウ越しに連射。一仕事終えたサイコは、自室に帰った。すると、サイコに撃たれたはずの犠牲者たちが、ゆっくりと起き上がり……。

 普通の小説ではなく、シナリオ風に書かれた珍しい作品。ロバート・ブロックの同名作品とは関係ありません。なんというか、アイデアの勝利、っていう感じですね。初めは単なるサイコ物かと思わせて、犠牲者が生き返るところで急にホラー色が強くなりますが、それだけでは終わらない。さらにひねった展開が待っています。サイコの正体がまさか「アレ」だとは……。実に良く出来た作品です。

 作者のマイケル・オドナヒューは、「サタデー・ナイト・ライヴ」の構成作家だった人で、ビル・マーレーの「3人のゴースト」の脚本を書いた人物だそうです。

 「ゴーサム・カフェで昼食を 22の異常な愛の物語」は、マーティン・H・グリーンバーグ、エドワード・E・クレーマー、ナンシー・A・コリンズ編の、愛(恋愛)とホラーについて書かれた短編小説を集めたアンソロジーです。他には、スティーヴン・キング、デイヴィッド・J・ショウ、ラムジー・キャンベル、リチャード・レイモン、キャスリン・プタセク、エド・ゴーマン、ダグラス・E・ウィンターなどの作品が収録されています。

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