『たんぽぽ娘』
ロバート・F・ヤング著/井上一夫訳
創元推理文庫「年刊SF傑作選 2」所収 初版1967年12月29日
あらすじ・・・妻が陪審の義務で呼び出され、二週間の休暇を湖畔の避暑地で一人ぼっちですごさなければいけなくなったマークは、ある日湖のほとりで、たんぽぽ色の髪をした少女に出会った。ジュリーと名乗った二十歳にもなっていないであろう彼女は、自分は未来からタイムマシンでやって来たと言った。
「おとといはウサギを見たし、きのうは鹿、きょうはあなた」
マークは妻に対し罪悪感を抱きながらも、ジュリーに惹かれていった。しかし、ジュリーと別れる日がやって来た。
四十四歳のおっさんと、二十歳にも満たない少女のラブストーリー。リアルに四十代のおっさんが読むと、少し気恥ずかしいですね。「おとといはウサギを見たし、きのうは鹿、きょうはあなた」と言うフレーズが、何度も繰り返し使われているのが効果的です。ジュリーの正体(と言うか誰かの正体がジュリー)は、比較的簡単に推測できますが、ラストは感動できます。何度読んでもいいですね。
この話、以前から評判を聞いていて、ぜひ読みたいと思っていたのですが、
「ビブリア古書堂の事件手帖」にも出ていたコバルト文庫のアンソロジーは手に入らず、ハヤカワのヤングの短編集には収録されておらず、なかなか読む機会に恵まれなかったのですが、昨年のみやこめっせの古書即売会で本書を見つけ(五百円だった!)、ようやく読むことが出来ました。即売会の帰り、立ち寄った書店で河出書房新社版と復刊ドットコム版を見つけ、なんとも言えない気分に……。ともあれ、他人の評判はあてに出来ないものですが、これは評判通りでした。
作者のロバート・F・ヤングは本作のような、ロマンチックなSFを書くことで知られ、本作はその最高傑作と言われています。短編作家のイメージが強く、長編は見たことがありません。翻訳されて無いだけですかね?
「年刊SF傑作選 2」は、ジュディス・メリル編のSFアンソロジーで、1961年に発表されたSF短編を収めています。ヤング以外では、マック・レナルズ、フレデリック・ポール、C・M・コーンブルース、フリッツ・ライバー、コードウェイナー・スミス、ジョン・ウィンダム、レイ・ラッセルなどの作品が収録されています。
最近、河出文庫版を購入しましたが、あえて「年刊SF傑作選 2」で(古本読書感想ブログなので)。
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