2016年12月25日日曜日

『くじ』感想(ネタバレ有り)

『くじ』
シャーリー・ジャクソン著/深町眞理子訳
文春文庫「厭な物語」所収 初版2013年2月10日

 あらすじ(ネタバレ)・・・6月27日の朝、村人たちは広場に集まり始めた。今日は年に一度の「くじ」の日なのだ。300人ほどの村人の中から、たった一人を選ぶ「くじ」。まず、一族の長が代表して「くじ」を引き、選ばれた一族の全員が一枚づつ「くじ」 を引く。今年選ばれたのは、テシー・ハッチンスンだった。村人たちは皆、男も女も老人も子供も、手に手に石を持ち、彼女を取り囲んだ。
「こんなのフェアじゃない。こんなのいんちきだ」
 叫ぶ彼女に、村人たちは一斉に襲いかかった。

 ……何ていうか、ちょっと言葉にできない感じです。実に「厭な」読後感です。ただ、間違いなく「名作」です。一度読んだら忘れられない作品でしょう……、忘れたいのに。
 この短編がニューヨーカー誌に発表された時の反応と言うか、反発はすごかったらしいですね。ま、そりゃそうでしょうけど。

 シャーリー・ジャクソンについては「ずっとお城で暮らしてる」の記事を参照して下さい。

「厭な物語」は、文春文庫刊の「厭な物語のアンソロジー」です(そのまんまや)。他にはアガサ・クリスティー「崖っぷち」、パトリシア・ハイスミス「すっぽん」、ジョー・R・ランズデール「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」、リチャード・クリスチャン・マシスン「赤」、ローレンス・ブロック「言えないわけ」、フレドリック・ブラウン「うしろをみるな」などが収録されています。ブラウンの「うしろをみるな」は彼の短編集で読んだことがありますが、これは原書で、刊行当時に読んでいたらもっと面白かったでしょうね。
「厭な物語」は最近四刷目が出ているようなので、手に入れやすいと思います。興味を持たれた方は読んでみて、一緒に厭な気分になりましょう。 

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