2015年4月30日木曜日

『マンハッタンの戦慄(上・下)』感想

『マンハッタンの戦慄』F・ポール・ウィルスン著/大瀧啓裕訳                                扶桑社ミステリー 初版1990年8月25日
 あらすじ・・・闇の始末屋ジャックのもとにインドの外交官クサムが訪れ、奪われた家宝のネックレスを取り戻して欲しいと依頼される。首尾よくネックレスを取り戻したものの、その頃からジャックの女友達ジーアの周辺で事件が起こり始める。別れた夫の叔母が失踪。さらに、ジーアや彼女の娘ヴィッキーの周囲に、怪しい影が忍び寄る。ジャックのもとにも、クサムの妹コラパティが現れジャックに近づく。失踪した叔母の妹から依頼を受けたジャックの前に謎の怪物「ラコシ」が現れる。ラコシの狙いは、ヴィッキーだった。
 
 主人公は闇の始末屋。ヒロインは子持ちでその夫はろくでなし。敵は超自然のモンスター。前回紹介した「殺戮の野獣館」と設定がそっくりです。二作を同時進行で読んでいたので、二作の相似に戸惑いました。まあ、二作ともB級ホラー路線まっしぐらな作品なので、似通ってくるのは仕方ないことでしょうね(勿論、相違点のほうが多く、二作とも違った趣があります)。
 どっちが面白いかと言われれば、どっちも面白いと答えます。どっちがお勧めですかと言われれば、迷うことなく本作の方をお勧めします(「殺戮の野獣館」はアクが強すぎます)。
 作者のウィルスンは、スティーブン・キング、ディーン・R・クーンツと並び、モダンホラー作家御三家とよばれた人物で、初期の代表作「ザ・キープ」は映画化もされています。本業は医者で、医療ミステリーなども書いています。
 本作の主人公「始末屋ジャック」は作者もお気に入りで、<ナイトワールド・サイクル>六部作(本作もその一部)の最終作「ナイトワールド」に善の主人公の仲間として登場し、さらに「始末屋ジャックシリーズ」として、続編が書かれています。
 上下巻で分量も多めですが、読みやすくラストまで飽きることなく読めると思います。

2015年4月27日月曜日

第13回四天王寺春の大古本祭り リポート

『第13回四天王寺春の大古本祭り』                                                リポート

「第13回四天王寺春の大古本祭り」に行ってきました。


 天気にも体調にも恵まれて、無事に古本漁りができました。四天王寺では、春と秋の二回古本市が開催されるのですが、秋のほうは台風のせいで一回も行った事がないんですよね……。


 西大門前の広場が主な会場です。


 


 沢山のテントに、大量の古本が所狭しと並べられています。日曜日ということもあり、結構人は多かったです。外国の方もちらほら見かけました(四天王寺を観光しに来た方たちでしょうか?)。
 個人的な感想なんですが、例年より販売されている本の数が減っているような気がしました(気のせいかな?)。

 こちらが今回の戦利品。
 
 七冊と少なめなのは、予算の都合です……。総額は三千円ほど。


 
 河出書房新社の世界探検全集が、三百円均一だったのは幸運でした。中央アジア物と、イブン・バットゥータの「三大陸周遊紀」の三冊をチョイスして購入しました。


 ベースボール・マガジン社の「ゴビ砂漠探検紀」はロジェストベンスキーの著書。この人って、恐竜の化石探しにゴビ砂漠に行ってたんですね。知らなかった。あとこの本、「秘境探検双書」 てシリーズなんですね。何このワクワクしてくる名前。

 SF・ホラーはこの三冊。

ジョン・ヴァーリイの「ティーターン」(創元推理文庫)は、前から欲しかったのになかなか手に入らなかった本。巡り会わせが悪かったのか。
 ロバート・ブロック「切り裂きジャックはあなたの友」(ハヤカワ文庫NV)は、今回最大の収穫。前から欲しかったのもありますが、なんとこれ百円でした。欲しくても高価すぎて買うのを断念することもあるのですが(今回も、ゼナ・ヘンダースンのソノラマ海外シリーズのやつを諦めました)、これは幸運でした。今まで見つけたときは、高くて諦めてたんですよね。
 福島正実・編「千億の世界」(講談社文庫)はアンソロジー。これは海外SF傑作選としてシリーズ化されているもので、見つけ次第買い集めてるものの一つです。

 ここの所、仕事や天気、体調のせいで古本市に行けてなかったのですが、久々に堪能しました。収穫は少なかったですが、掘り出し物もあったので満足です。
 次は来月、京都のみやこめっせで開催される春の古書大即売会ですか。屋内イベントなので、天気の心配が要らないのがなによりです。
 体調を整えて参加したら、またリポートします。

2015年4月23日木曜日

ご挨拶

 はじめまして。古屋本一郎と申します。

 このブログでは、私が読んだ本の感想を中心に、投稿していきたいと思います。
 こうして形に残さないと、読んだ本の内容や感想って、忘れちゃうんですよね。読んでて「あれ? この話、どっかで……」 って事、結構あるんです。

 本のジャンルは主に、海外作家のSF・ホラーです。日本人作家の本も読みますが、感想は海外作家の作品が、中心になると思います。

 本の感想の他には、どうでもいいような雑談を書くこともあると思います。あと、古本市に行った時はその様子をリポートする予定です。

 更新間隔は不定期で、連投する事もあれば、月単位で更新が止まることもあるでしょうが、時間があるとき気が向いたときにでも、見ていただけたら幸いです。

 ブログ初心者なので、文字ばかりの地味なブログになると思いますが、 勉強しつつより良いブログになるよう、精進します。

『殺戮の野獣館』 感想

『殺戮の野獣館』 リチャード・レイモン著/大森望訳
                      扶桑社ミステリー 初版1997年5月30日

「初っ端からこれかっ!」と思った方は通です。

 あらすじ・・・二十世紀初頭に建てられて以来、怪物による殺人が絶えない通称「野獣館」 子供の頃、怪物に友人を殺されたラリー・メイウッドは、野獣館でまた殺人が起きたことを知り、復讐のため凄腕の兵士ジャッジメント・ラッカーを雇い、野獣館へ向かった。
 ダナ・ヘイズは、変態で殺人鬼の元夫ロイから我が身と娘のサンディを守るため逃亡。その果てに、野獣館にたどり着く。
 ダナの元夫ロイは、行く先々で殺人を繰り返しながら、元妻と娘を追い、野獣館へとたどり着く。

 B級ホラー映画路線まっしぐらな設定とストーリー。凶暴なモンスター、凄腕のヒーロー、薄幸のヒロイン、鬼畜な悪人。ありきたりといえばありきたりですが、スピード感もあって、なかなか面白く読めました。
 ただ、本の裏表紙にも書いてあるのですが、結末が衝撃的過ぎて万人にはお勧めできないんですよね……(私は「あれ、なんか読み間違えたか?」と思って、数ページ読み返しちゃったほどです)。
 作者はスプラッターパンクの旗手とも呼ばれた人で、エログロバイオレンス満載な所も万人向けではないですね。

 ともあれ、全体的には出来も良く、評価も高かったようで、続編が何作か作られています(日本では第二作の「逆襲の野獣館」しか出てませんが)。
 スプラッター好き、鬼畜好きな方にはお勧めです。