2016年3月21日月曜日

「第25回 弁天町 ORC 200 古本祭り」リポート

『第25回 弁天町 ORC 200 古本祭り』リポート

 2016年3月20日、「第25回 弁天町 ORC 200 古本祭り」に行ってきました。ここのところずっと古本市に行けてなかったので、久々の古本市です。まあ、行けなかった理由は、お金が無かったり、お金が無かったり、お金が無かったりしたからですが……。今回も足を痛めていたので(仕事中、歩いていたら左足のふくらはぎが、”ブチッ”っていった)見送ろうかと思ったのですが、幸い早くに回復したので、行くことにしました。




 以前のツイン21の時も感じたのですが、棚の数がやはり減っているようです。参加店舗が減ったのでしょうか? 日曜日の割には、お客さんの入りももう一つでしたし……。ちょっと寂しいですね。
 相変わらずレプリカの古式銃が売ってましたが、あれは一体何なんでしょうね。

こちらが今回の戦利品。4点と少ないのは予算の都合ってことで……。

SFマガジンを二冊。1964年11月号と、1967年10月号です。前者にはレイモンド・F・ジョーンズの「騒音レベル」が、後者にはウォード・ムーアの「ロトの娘」が掲載されています。「騒音レベル」は、山本弘さんの本で知りました。オチまで知っているのですが、一度読んでみたくて購入しました。「ロトの娘」は、前作に当たる「新ロト記」を読んだことがあり、それがなかなか良かったので、続編があると聞き読んでみたいと思っていたところ、今回見つけることができたので購入しました。

「年間SF傑作選6」は、ジュディス・メリル編のSFアンソロジーです。執筆者は、J・G・バラード、R・A・ラファティ、フリッツ・ライバー、トマス・M・ディッシュ、アーサー・C・クラーク、ゴードン・R・ディクスン、ブライアン・W・オールディスなどです。これらSFファンには馴染みの名前に混じって、ホルヘ・ルイス・ボルヘスと、ロアルド・ダールの名前があるのがちょっと変わってますね。ロアルド・ダールの「廃墟にて」という作品が、なんというか、すごいです。
「スクリーンの異形―骸骨城―」は、井上雅彦さんの映画仕立てのホラー連作集です。

 久々の古本市でしたが、やっぱりいいですね。どうにも体調や懐具合が悪くて、行けないイベントが多いのですが、出来るだけ参加したいですね。
 「第25回 弁天町 ORC 200 古本祭り」は3月24日木曜日まで開催されているので、興味のある方は行ってみられたらどうでしょう。最寄り駅はJR大阪環状線「弁天町駅」です。
 次は4月頭のツイン21か、末の四天王寺か、5月のみやこめっせか……。後者の二つは日程が被ってるんですよね……。全部行きたいけど、どれか一つってことになりそうだなぁ……。

2016年3月4日金曜日

『丘に、町が』感想

『丘に、町が』
クライヴ・バーカー著/宮脇孝雄訳
集英社文庫「血の本[Ⅰ]ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車」所収 初版1987年1月25日

 あらすじ・・・ミックとジャッドのホモの恋人二人は、ユーゴスラヴィアを旅行中に喧嘩になってしまった。道に迷った二人の乗る車は、ポポラックという名の田舎町に近づいていた。
 ポポラックではヴァスラフ・イェロフセクが、中央広場で「巨人」が組み立てられていく様子を見ていた。その「巨人」は、町の住民で出来ていた。住民たちが老若男女問わず、体をベルトで繋ぎ固定して、体のパーツを作り、それを組み合わせて「巨人」をつくり上げるのだ。隣町のポジュエヴォでも同じように「巨人」を作り、二つの町で作った二人の「巨人」を競わせる祝祭が行われようとしているのだ。
 だが、ポジュエヴォの「巨人」に問題が起きた。左の脇腹と腰に欠陥があり、その部分の住民に大きな負担がかかっていたのだ。そしてついに破綻が起き、脇腹を構成していた一人が押しつぶされ、連鎖的にポジュエヴォの「巨人」は崩壊していった。
 前代未聞の大惨事が起きた。

 人間で組み立てられた巨人! それが崩壊して起きる大惨事! 洪水のように押し寄せる大量の血! 読者の想像力を試すかのような描写が連続します。多分、流れる血の量で言えば、この話が本書の中では一番です。
 私は「血の本」シリーズで、この話が一番好きです。異常な殺人鬼も、超常的な怪物も出てきませんが、この幻想的な悪夢のような世界は、何度読んでも面白い。

 作者のバーカーと収録されている本については、前回書いたので省略します。